一時、ユーロ円が160円、ポンド円が240円の大台攻防となった。これは、少なくともこの10年間のユーロ、ポンドの最高値圏。そして同時に、「不吉な記憶」の残る水準でもある。前回、ユーロ円160円、ポンド円240円攻防を演じたのは98年のこと。この幕引きは98年10月に訪れた。たった1ヶ月で、ユーロ円は160円から140円割れ、ポンド円も230円台から一気に200円割れへ「暴落」したのである。 1ヶ月で2割近い下落ということは、ドル円に例えれば、最近120円程度で推移しているドル円が一気に100円割れになるということだ。「暴落」というより、「崩壊」、メルトダウンといったイメージに近いかもしれない。
ユーロ円、ポンド円でそんなメルトダウンが起こったのが98年10月であり、その始まりが現在攻防を再現しているユーロ円160円、ポンド円240円からの反転ということだったのである。
ただし、この時の大相場の主役はユーロ円やポンド円ではなく、ドル円だった。この98年10月、130円台半ばで始まったドル円は、7日に130円から120円へ、さらに翌8日は120円から110円へといった具合に、わずか2営業日で20円の「大暴落」を演じた。ユーロ円、ポンドも、そんなドル円の暴落に巻き込まれた結果でのメルトダウンだった。
これに対して最近は、ユーロ円、ポンド円は、98年10月の「不吉な記憶」の残る160円、240円攻防となったわけだが、ドル円は120円程度で、単純に名目水準を比較すると98年10月当時よりまだかなりドル安・円高に過ぎない。
FX取引、FX初心者、くりっく365、FX口座開設、FX資料請求 98年の場合は、ドル高・円安行き過ぎの反動がその後のドル暴落につながり、ひいてはユーロ円、ポンド円も巻き込んだメルトダウンに発展していったと考えれば、今回の場合は、この先ドル暴落に転じるほど行き過ぎたドル高・円安になっているかは、ちょっと見たところ懐疑的だ。ただし、「物差し」を変えると、ここにも気になる類似性はある。
ドル円相場は、この20年ほど、日米の卸売物価で計算した購買力平価(PPP)を大きく超えてドル高・円安にならない状況が続いてきた。その意味で、PPPはドル高・円安の限界圏だったのである。
ところで、そのドル高・円安の限界圏であるPPPが、98年10月当時は140円程度だった。そして最近は120円程度になっている。つまり、「不吉な記憶」の残る98年10月と最近のドル円を単純に比較すると135円と120円でかなり違うが、PPPを前提にすればどちらもドル高・円安の限界圏といったよく似た構図にあることがわかるわけだ。
そこで、もう一度、ユーロ円、ポンド円の話に戻ろう。98年10月は、ドル高・円安がPPPとの比較では限界圏に達する中で、それに連れる形でユーロ円は160円、ポンド円は240円まで到達、その後ドル円が反落から暴落へ向かうと、今度はユーロ円もポンド円も一蓮托生で「メルトダウン」となった。
さて今回は、ドル円はまだ120円程度だが、PPPを前提とした場合、ドル高・円安の限界圏で推移しているといったことでは、98年10月とほぼ似た状況といえそうだ。限界をきわめ、ドルの反落に向かう時、ユーロ円、ポンド円も一蓮托生になる可能性は気になるところだ。ユーロが年明け早々反落となった。これは2年前、2005年のケースと似ている。ただ、2005年との違いもありそうだ。具体的には、購買力平価(PPP)に対するユーロ割高度が、2005年の場合は3割とほぼ限界に達していたのに対し、今回はせいぜいその半分程度だということ。割高限界から反転した2年前のユーロと今回では、この先のストーリーも自ずと違ったものになりそうだ。2005年は年明け早々がユーロの高値となり、その後一段安に向かった。では今回もそうなるかといえばその点は違うのではないか。
2005年と今回の違いは、ユーロ割高度だ。2005年の1月は、購買力平価に対するユーロ割高は3割に達していた。割高度が3割を超えたことは基本的になく、つまりユーロ高の限界に達していたわけだ。
それに対して最近の割高度はまだ2割にも達していない。割高なユーロには変わりないが、限界まで達しているということではなさそうだ。ちなみに、ユーロ割高が3割に達するなら、今回の場合1.45−1.5ドル程度までユーロ高・ドル安になる計算となる。FX2007年が、年明け早々ユーロ急落でのスタートとなったのは、それ自体は珍しいことではない。ユーロは、誕生してから過去7年間で1月には5回下落しており、そもそも「ユーロ安になりやすい1月」ということである。
そういった構図があるにもかかわらず、ユーロは「買われ過ぎ」の状況となっていた。シカゴIMM統計によると、ユーロ持ち高は1月9日時点でも7万枚を越えており、かなり大幅な買い持ちだった。下落リスクが基本的に大きい1月に、ユーロを「買い過ぎ」にしていたという「歪み」の修正が入っているということだろう。
別な言い方をすると、「歪み」の修正が一巡した後も、ユーロが一段安に向かうかといえば違うと思う。2005年の場合は、1月の高値から、年央には1割以上のユーロ反落となったが、それは先にも見てきたように、ユーロが割高の限界に達し、その修正が本格化したということで、その点が異なる今回は自ずと違ったストーリーになるだろう。
ユーロドルの年間値幅は、だいたい1500−2000ポイントといったところ。その意味では、ユーロがいずれ続伸し、対ドル最高値1.36ドルを更新、1.4−1.45ドル程度に上昇すると仮定したら、ユーロ安値の目処はせいぜい1.25ドル程度といった計算になる。 にわかに、日銀利上げ見送りとの見方になってきた。ではこれで為替が円一段安になるかといえば、微妙ではないか。そもそも為替市場は「利上げ=円高」をまったく織り込まず、むしろ円一段安を織り込みすぎたような円「売られ過ぎ」となっていた。こういった中では、利上げがあろうとなかろうと、さらなる円売り余力は限られるため、円安の反応には自ずと限界があるのではないか。
為替の投機筋の売買目安になっているシカゴIMM統計によると、1月9日現在で円は12.3万枚の売り持ち。昨年7月のゼロ金利解除前は同2万枚の売り持ち、また昨年3月の量的緩和解除前は4.1万枚の売り持ちだった。つまり今回は、ゼロ金利解除前の6倍、量的緩和解除前と比べても3倍の円売りになっていたわけだ。
これだけ円売りに傾斜しておりながら、円一段安が進むということはあるのだろうか。たとえば、今回より円売り持ち高が多かったのは昨年10月10日と10月24日の2回しかなかったが、それぞれ当時の円安は一両日以内にピークアウトしていた。そういった観点からも、やはり円安は限界が近いのではないか。
為替市場では最近まで、日銀が利上げしても円反発力が鈍いことを確認してから円一段安をトライするシナリオを想定していたかもしれない。そのシナリオ自体私は今回の場合どうかと思うが、いずれにしてもここにきて正反対のシナリオ、利上げ見送りでも円続落に限界があることを見極めた上で円の反動高が試される可能性が注目されてきた。 ところで、日銀利上げ見送りでもしも円一段安になるとして、その前提条件の一つは円金利の低下だが、それですら自ずと限度があるのではないかと私は思う。FX
円金利、とくに長期金利は、日銀の政策よりむしろ米金利で決まっているというのが現実だ。日米の長期金利(10年債利回り)差は、年明け以降2.87−3.03%、つまりほぼ3%近辺での推移が続いている。要するに、日米の長期金利は、3%の差でほぼパラレルな推移が続いてきたというわけだ。
以上からすると、円金利が上がるなら、それは米金利が上がるからであり、円金利が下がるのは米金利が下がる時ということになる。日本の長期金利は、今週初めにかけてほとんど2ヶ月ぶりに1.7%をしっかり超えて上昇してきたが、このような見方からすると、それは日銀利上げ織り込みとともに、米金利上昇への連れ高だった可能性がある。
こんな具合に、円金利を考える上で重要な鍵を握る米金利は、FRB利下げ先送り観測で、上昇基調が続いている。そういった中で、日銀利上げ先送りへの失望から円金利の下落余地はどれだけあるのだろうか。
日米長期金利差が3.1%を超えたのは4ヶ月以上ない。とすれば、米長期金利が4.7%前後で推移している限り、日本の長期金利も1.6%を下回る可能性は低いということになるだろう。
利上げ先送りで円が反落するのは、一つは円売りが拡大すること、そしてそのきっかけとして円金利が一段と低下することだろう。すでに円がかなりの「売られ過ぎ」になっていることを指摘した。くわえて、円金利の低下も限られるなら、やはり円一段安には限界があるのではないか。 今週18日の日銀追加利上げが注目されている。ではこれの為替への影響はどうか。日銀の金融引き締めは、昨年2回あった。3月の量的緩和解除と、7月のゼロ金利解除だ。ところで、この2回と比べると、今回は円の売り持ちがきわめて大きい。FX
その意味では、為替は今回、追加利上げをほとんどまったく織り込んでいないといったことになるだろう。すでに円が「売られ過ぎ」になっているということからすると、18日追加利上げの有無にかかわらず、円一段安余地は限られ、むしろ円が反発に転じる可能性もあるだろう。 昨年の2回の日銀「利上げ」は、量的緩和解除が3月9日、そしてゼロ金利解除が7月14日だった。この直後、為替は円安になっていた。3月9日の117.83円から、13日には119.20円に。また、7月14日の115.42円から、19日には117.88円に。では、今回もかりに追加利上げがあっても、為替は円高にならないのだろうか。FX
量的緩和解除とゼロ金利解除と、今回を比べて大きく違うのは円の持ち高だ。シカゴIMM統計によると、昨年3月は4.1万枚の売り持ち、7月は2万枚の売り持ちだった。これに対して今回は、1月9日現在で12.3万枚の売り持ち。史上3番目の大幅な売り持ちだ。
これを見る限り、為替は追加利上げをまったく織り込んでいないか、もしくは追加利上げで円高になる可能性を完全に無視した状況になっていると言えそうだ。その意味では、追加利上げがあろうとなかろうと、円の一段安には限りがありそうだ。
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